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体外受精

体外受精の方法

 体外受精とは、卵巣より直接成熟卵を採取し(採卵)、同様に採取した精子と一緒にし(受精)、受精した卵(受精卵)を数日間培養した後、分割した受精卵(胚)を子宮に戻す(胚移植)ことを言います。

 体外受精を成功させるためには良質の成熟卵を採取する必要があるため、排卵誘発剤(HMG・FSH)を使用して卵巣を刺激し、多くの卵を採取します(調節卵巣刺激)。卵巣を刺激しますと、通常より早く排卵するようになり、自然排卵が起こらないようにする必要があります。

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調節卵巣刺激(COH)

 質の良い卵子を1回の採卵でより沢山得るのが重要ですが、卵巣刺激に用いるホルモン剤は複数あり、これらをどのように使いこなすかが不妊治療施設の腕の見せ所だと考えています。

 卵巣の状態は個々人によって異なりますので、弱い刺激でも過剰に反応してしまう方や、反面強い刺激でもほとんど反応しない方もいらっしゃいます。刺激が強すぎる場合にはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を生じる可能性があり、逆に刺激が効かない場合には採卵は行えません。

 大きく分けて以下のようなスケジュールがありますが、AMHや卵巣サイズを参考にスケジュールを組むだけでなく、外来での細かい管理によりその都度個々人に合った調節を可能にしています。

Long法

Long法は、当院では35歳以下の方でAMHが1.4~3.5ng/mlの方に実施することが多い方法です。採卵のスケジュールがコントロールしやすく、比較的質のよい卵子の確保が期待できます。  

 

Short法

Short法は、当院では35歳以上の方でAMHが1.4ng/ml以下の方に実施することが多い方法です。早期に排卵を抑制するので、発育卵胞数が増え多くの採卵が期待できます。また、誘発する薬の使用量が少なくて済みます。

 

アンタゴニスト法(セトロタイド使用法)

アンタゴニスト法は、40歳以上の方でAMHが0.7ng/ml以下、または3.5ng/ml以上の方に実施することが多い方法です。卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症率が比較的低くなります。

 

自然排卵周期

自然排卵周期は、卵巣機能が低下した方に実施することが多い方法です。投薬量が少ない為、卵巣やからだにかかる負担が軽くなりますが、卵胞が育たない場合や、排卵してしまうこともあります。
 

採卵

採卵とは、卵巣から直接成熟卵を取り出すことです。約10~15分かかります。局所麻酔のみで行う方法と静脈麻酔で行う方法があり、原則患者様の希望に沿って行います。採卵数が多い場合には疼痛が強くなる可能性があり、静脈麻酔を勧める場合があります。

採卵数は1個から20数個と個人差がありますが、自然排卵が起こってしまった場合や、卵が十分成熟してなかった場合などに0の場合もあります。

受精の方法

媒精(IVF)

細胞質内精子注入(ICSI) 

顕微授精とは、一個の精子を細いピペットに吸い込んでおき、卵細胞の中に直接精子を卵細胞内に注入する方法です。卵細胞内に直接注入するため、受精は95%以上の人に期待できます。全く動いていない精子や、奇形の精子、また無精子症と診断された人でも精巣(睾丸)から精子を見つけられれば、妊娠は可能です。このように顕微授精(ICSI)によって男性不妊症のほとんどが解決されました。

受精卵の評価 

受精後から胚盤胞に至るまで

 

①初期胚 (受精後から桑実胚まで)

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      受精後        4細胞期        8細胞期        桑実胚

 正常に受精した卵は細胞分裂を繰り返し2→4→8→16…と細胞数を増やしていきます。
 細胞数が増えた段階でcompactingという現象が起こり、桑実胚へと進みます。 
 
 
 
②胚盤胞
 
      

 

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   初期胚盤胞        完全胚盤胞       拡大胚盤胞        孵化胚盤胞

受精卵の質の評価

Time-lapse Imaging 

 従来は培養器に入れた胚をその都度外へ取り出し、顕微鏡で観察し静止画を得て評価していました。現在、当院ではVitrolfe社のTime-lapse technologyを採用しており、より詳細な胚観察を可能にしています。

 

 利点:①連続した静止画を得ることで、動的解析ができる

    ②同時に複数の胚の変化を観察することができる

    ③胚を外へ持ち出す操作が減るため、影響を減らすことができる

 

例① 同一患者様の9つの胚を同時に観察しています

 

例② 初期胚から胚盤胞(6AA)への理想的な分割を示します

新鮮胚移植

胚移植とは、胚を子宮内に戻すことです。

 採卵後2~3日目に受精卵は分割を始め4~8分割卵(胚)となります。胚や子宮内膜の状態を考慮し医師が判断して、採卵後2日目あるいは3日目に胚を子宮内に戻します。

 良質な4~8分割胚を移植しても妊娠に至らない人には、胚を採卵後5日目まで培養して移植することもあります(胚盤胞移植)。

受精卵の凍結 凍結胚移植

胚移植数は原則1個までですので、それ以上の良質胚ができた場合、ご希望があれば凍結保存します。

当院では、超急速ガラス化法(Vitrification法)を用いて凍結をしています。この方法は世界に先駆けて広島HARTクリニックが開発した方法で、極少量の凍結保存液と混和して短時間で急速に凍結します。その結果、妊娠率は従来の胚盤胞凍結法と比べて飛躍的に向上しました。凍結後、融解して胚が生存している率は95%以上です。

  卵子凍結保存について

当院では、下記の方を対象とした卵子凍結保存を行っています。

<対象者>

1.子宮、卵巣、卵管などに問題があり、将来不妊治療が必要になる可能性が高い方

2.40歳未満の方(40歳以上の方には実施いたしません。)

<保存期間・費用>

保存期間:原則として2年間(延長を希望する場合は1年毎に更新手続きが必要)
     但し、年齢の限度は43歳未満です。

費用:採卵及び卵子の成熟度の確認に要する費用  200,000円(別途 消費税)
         ※尚、採卵までの注射、検査費用は別料金となります。

        卵子凍結、2年間の保管費用  1容器あたり 100,000円(別途 消費税)
       (1容器に卵子を2~3個保管します。)

       卵子凍結延長費用(1年) 50,000円(別途 消費税)

<注意点>

1.卵子の凍結保存法は既に確立されていますが、融解後顕微授精法により受精させ、その後の胚発達を確認し移植する周期になるため、胚凍結による周期あたりの妊娠出産率と比べて低くなる可能性があります。

2.43歳以上の妊娠出産における合併症が深刻な問題になり得るため、年齢における限度を設けています。